Casestudy
導入事例
2025/10/16
αGeAIを導入いただいたDX戦略本部AAS-DX推進部のご担当者様に、その活用方法や効果、導入時の課題について、お話を伺いました。
アジア航測株式会社(https://www.ajiko.co.jp/)は、航空機やドローン、衛星による測量・センシングをはじめとした高精度な空間情報データと様々な分析技術を駆使しながら、国土保全、インフラ管理、再生可能エネルギー導入支援など多岐にわたる分野でサービスを展開し、持続可能な社会づくりに貢献している空間情報コンサルタント企業です。
※αGeAIは、「KMSが提供するAIソリューションをアジア航測様向けにカスタマイズしたAIソリューションになります。」
DX戦略本部AAS-DX推進部では、2023年に策定したAAS-DX五か年計画(“意識改革”、“仕組みづくり”、“技術革新”)に基づいてDXを推進する組織となっており、社内の各部門にあったDXの取り組みを支援しながら、DX人財育成にも力を入れています。
アジア航測では、現実のアナログ世界を様々なセンサーでキャッチし、必要な情報だけをデジタルデータに変えて、業務に役立てることが多くあります。その中で、最適な業務のやり方を見つけることは、いつも考えている課題です。デジタル技術を使うことには以前から取り組んできましたが、DXという視点では、社内の各部門で解決すべき問題がまだまだ見受けられます。
私たちのDXを進めるためには、これらの課題に取り組む時間を確保することが大切ですが、日々の業務に追われていてなかなか難しいことも多く、日常の管理業務では膨大なマニュアルを確認するのに時間がかかり、文書作成でも紙や手作業が多く、ミスが起きてしまうことがあります。これが効率的な業務の進行にも影響を与えるという課題もあります。
2022年11月にOpenAI社よりChatGPT3.5がリリースされたことにより、当社内でもその利便性や活用方法については注目が集まっていました。2023年10月より一部の社員における試行運用により、前述の課題も踏まえ“どのように業務に活かせるのか”、“当社の業務がどう変われるのか”を検証しました。
それらの結果及びMicrosoft社よりご提案いただいたAzure OpenAIサービスを活用したサービス“KMSが提供するAIソリューション”を2024年4月より導入しました。
当社における生成AIの活用は、特定の利用目的というよりは、生成AIという“魔法のツール”が世の中に誕生して、“それをどのように我々の業務で活用できるのか”をAAS-DX推進部が伴奏しながら定着を図ってきました。
それにより日常業務の“文章の要約”、“翻訳”、“メール文案の作成”、“アイデアの壁打ち”などの日常的に利用可能な使い方からスタートしています。
現在では、多くの役職員がパソコンのスクリーンの一画面にαGeAIを表示させながら日常業務を行うようになってきており、生成AIが各社員の伴走者になってきたことをうれしく思っています。
一番重要だったのは、「情報漏洩リスク」にどう対処するかという点でした。この課題に対し、Microsoft社の「責任あるAI」のコンセプトは、AI選定時に非常に重要な要素でした。
また、当時Azure環境で生成AIソリューションを提供できる企業は限られていましたが、Microsoft社から紹介されたKMSは、既存のMicrosoft製品との高い連携性と安心感のあるサポート体制が魅力的でした。これにより、当社の業務にスムーズに組み込めると判断しました。
さらに、生成AIによる文書作成支援や品質向上への期待も大きく、総合的に判断して導入を決定しました。初期導入時から専門的なサポートを受けられたことで、現場への定着もスムーズに進みました。
また、当社にはAAS-DX推進部というDXを推進する部門があり、推進活動は外部に頼らず社内で運用できることも決め手となりました。
KMSの担当者による丁寧な説明と、社内のセキュリティポリシーに沿った設定支援により、安心して導入を進めることができました。トライアル期間中には限定的な環境で試験運用を行い、リスクを最小限に抑えながら運用ルールを整備することができました。
現在、αGeAIはプログラミング関係のシーンにおいて最も利用されています。特にVBAやPythonは比較的プログラミングの経験が浅い職員でも取り組みやすい言語であり、普段の業務における自動化ツール等作成の効率化に力を発揮しています。
また、様々な資料や文書の作成でも多く活用されています。
例えば、メールや論文等文書の作成においては、効率的な誤字脱字チェックや、やり取りを繰り返しているうちに新たな視点の気づきが得られるケースもあります。さらに業務提案書等の作成では、過去の事例や定型文をもとに迅速にドラフトを作成できるため、新たな提案検討や内容の精度向上に割り当てる時間を作ることが可能です。
また最近はRAG機能(文書検索、EXCEL分析)の活用を本格化させました。今後は既存資料やEXCELで整理されたデータを基にした業務の効率化に期待しています。
生成AIの活用にあたっては、社内で定めた利用ガイドラインに基づき、法令遵守や情報漏洩リスクへの配慮を徹底しており、原則、セキュアな環境で利用可能なαGeAIを利用するようにしています。
αGeAIの利用開始画面にも表示しており、常に目に触れるような仕組みにしております。
導入当初は全社員のうち、約20%程度の利用率でしたが、活用事例を共有する仕組みや社内イベントでの紹介などによる社内広告活動によって、約50%の方が日常的にαGeAIを利用しています。利用シーンは様々ですが、当社業務において、生成AIとうまく向き合う力を身に着けた職員も増加していることを実感しております。生産現場においてもαGeAIを活用した事例も多くなってきており、これまでは個々で利用していたαGeAIが、組織的に利用する事例もあります。
一方で生成AIは100%正しい回答はしない性質があり、あくまで道具という認識で活用しないと思わぬ落とし穴があることを発信しつづける必要があると感じています。
また、社内から集まった100件程度の活用事例を基にその効果を概算したところ、その事例のみで年間約3300時間の時間短縮が見込まれることがわかりました。この時間はコストに直結するのみではなく、生産性向上や働き方改革への活動へ割り当てることも可能です。今後さらに活用が進み、その効果が増大することを期待しています。
RAG機能を積極的に活用して、生産性向上を図っていきます。また、αGeAIは様々なAIモデルに対応していますので、各AIの性能を把握しながら、社内におけるAIエージェント開発にも活用しながら、社内外のDXを推進していく予定です。
複数AIを組み合わせて、業務に応じて柔軟にカスタマイズできる機能があると、より精度の高いAIサービスが作成できると思います。(例:文書検索モードAIで生成された回答から、EXCEL検索モードAIに自動プロンプトを投げて回答など)
アジア航測株式会社は、航空機やドローン、人工衛星などを活用して、地球や街の「正確な地図」をつくり、そこから得られる情報をもとに社会に役立つサービスを提供している空間情報コンサルタント企業です。
同社が扱うのは、単なる地図ではなく、災害対策やインフラの点検、再生可能エネルギーの導入支援など、私たちの暮らしを支えるために欠かせない高精度なデータ。最新のセンシング技術と高度な分析力を組み合わせることで、国や自治体、企業の課題解決を幅広くサポートしています。
また、持続可能な社会をめざして「DX(デジタルトランスフォーメーション)」にも積極的に取り組み、自社のノウハウや最先端の技術を融合させながら、未来社会の基盤づくりに挑戦し続けています。